2020212

IanaとOryx – ファーストコンタクト

「シックス。

ああ、言いたいことはわかるが、いずれはその呼び名に慣れてもらわないとな。力にはそれなりの責任が伴うって言うだろ。これでまた普通の人間に戻ったと思うかもしれないが、この先どうなるかは誰にも分からない。

さて、頼まれたとおり、レインボーに加入する新人について調べた。Ianaは簡単だった。エンジニアの家系に生まれ、やむを得ぬ事情で空軍を除隊した後に研究者として頭角を現した。技術分野で成功するには常に徹底して冷静でいられる器が必要だ。その点、彼女は問題ない。安定感があり、こちらの予想を裏切らない実力を発揮してくれる。だからと言って、使う戦術も予想しやすいかといったらそうじゃない。ここまでの情報を見る限りでは気に入った。今後の対戦で彼女を打ち負かすのが楽しみだ。

一方、Oryxには苦労した。何しろほとんど情報がない。要塞で副司令官を務め、Kaidに推薦されたという経緯は知っているし、お前の判断を疑うつもりもない。だが、15年間も行方をくらませていたことが引っかかる。ローカルにも国外にも記録がない。会った限りでは、その人となりに好感を持てた。俺に見せてくれたごくわずかな彼の内面については… と言うべきかもしれないが。問題は、一切が謎に包まれているという点だ。この種の仕事で得体の知れない奴と一緒に働くのは気にくわない。胃潰瘍になりそうだからな。とはいえ、余所に行かれるくらいならチームの一員として傍に置いておきたい。ぶっちゃけた話、そうすりゃ現場でもっとじっくり観察するチャンスを得られるし、必要な情報が手に入れば俺も安心できる。

2人とも同時に加入することになるが、それについては正直困惑している。一方は(文字どおり)この世界の外から来た技術分野の頭脳派、もう一方は顔面だけで70キロものベンチプレスができそうな男ときた。もちろん、彼は馬鹿じゃないし、彼女も弱くはない。ただ… 2人はとにかく真逆だ。これまで経験してきた人生も、世の中を見ている視点もな。唯一共通点を挙げるとしたら、2人とも意外性を好む点だ。人の不意をつき、その反応を見る。こればっかりは、外見からは想像もつかなかった。

はっきりした答えが返ってくることは期待してないが、それでももう一度聞こう。この2人、一体どこで見つけてきたんだ? 俺の学んだ心理学は主に精神病を特定する類のものだった。だから、お前の組織力には心底感心するよ。だからこそ、シックスなんだけどな。俺がこの話を延々にするのだって、お前を認めてるからこそさ。

-- マイルズ」

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