28.October.2021

『The Devil Went Down to Georgia』――だけど、どうやって?

筆者:Dan Amrich

1979年のアルバム『Million Mile Reflections』のセッションの終わり頃になって、Charlie Danielsとそのバンドは何かが欠けていることに気がついた。それはフィドル曲だ。Daniels自身がフィドルの演奏者だったことを考えれば、これがなんと驚くべきことか分かるだろう!「なんで気が付かなかったのかわからない」Songfactsのインタビューで彼はそう認めている。「だけど、レコーディングスタジオを数日離れて休み、リハーサル スタジオへ向かうと、このアイデアがぱっと浮かんだんだ。『The Devil Went Down to Georgia』がね」


粗野な言葉使いのせいで曲を放送電波に乗せられないこともあるため、セッション中は重要なフレーズを"son of a gun「サノバガン」"で置き換えた。ラジオ版ではこれが使われたが、アルバムではオリジナルの歌詞を確認できる。

この曲の主題となっているのはフィドルの名手ジョニーが黄金のフィドルをめぐって悪魔と戦う民間説話で、ジョニーと悪魔は代わりばんこに相手を負かそうとする。このトラックではCharlieが両方のパートを演奏する。悪魔の多重録音は7つあるが、ジョニーのは3つしかない。そして、英雄が勝者となる。ファンの中には悪魔の派手で混沌とした演奏が好きだと言う人もいるが、信心深いCharlieは「悪魔の演奏には中身がない」と切り捨てる。CharlieはSongfactsにこう語っている。「よくよく聴いてみれば、悪魔の演奏は巧妙なトリックだと分かる。中身がないんだ。つまり音楽がないってことだ」

Charlie Danielsは、部分的ながらも、Stephen Vincent Benetの1925年の詩『The Mountain Whippoorwill:How Hill-Billy Jim Won the Great Fiddler's Prize』の影響を受けている。Benetと言えば、アメリカ文学では『John Brown's Body』『The Devil and Daniel Webster』で有名だ。Benetが『The Mountain Whippoorwhill』を書いたきっかけは、前年、フィドル奏者のLowe Stokesが全国大会でベテランのFiddlin' John Carsonに勝利したことだった。(さらに興味深いことに、同じ詩が1974年のNitty Gritty Dirt Bandのトラックに現れている。)注目してもらいたいのは、Stokesが勝利を掴んだ曲(ブルーグラスの大会でよく使用される古典的な曲『Hell Broke Loose in Georgia』)の名前が、最終的にはCharlie Danielsの歌詞に取り込まれていることだ。


Lowe Stokesは、ジョージア州で最も影響力の大きなブルーグラス バンドであるSkillet Lickersのメンバーとして『Hell Broke Loose in Georgia』をレコーディングした。

その曲の生誕40周年に、Charlie Danielsはスタジオにおける創作時の懐かしい思い出を語った。「ドラマーたちがリズムを見出し、Charlie Haywardがヘトヘトに疲れるベース パートを考案し、Taz(キーボーディストのJoel DiGregorio)がフィドルのソロを予兆するラインを作り、Tommy Crainが持ち前のギターで沸き立つようなリズム パートをやってくれた」緊密かつ強烈なコラボにより、The Charlie Daniels Bandは1979年にグラミー賞を獲得した。

さらにその後、この曲は『Guitar Hero III』のラスボス戦のBGMとして使われたことで知られているが、Charlieはそのことを快く思っていない。悪魔が勝つ可能性もあるからだ。2008年、Charlieは次のように書いている。「曲を誤用する許可なんて自分は誰にも与えていない。あの仕上がりにはうんざりさせられている」だが、あらゆる神秘的な物語と同じく、成功の真の指標となるのは後日譚だ。1993年、Charlieと共にフィドルを奏でたMark O'Connorは、全国的なスーパースター、Johnny Cash、Marty Stuart、そしてTravis Trittをフィーチャーした『The Devil Comes Back to Georgia』をレコーディングした。今度は、10年後に行われたジョニーと悪魔の再戦をテーマにしている。勝ったのはどちらか?それは自分の耳で確かめてもらいたい

Dan Amrichは、雑誌『Guitar World』と『Country Guitar』で音楽記者としてのキャリアをスタート。Princess Leia's Stolen Death Star Plansの共同制作者であると同時にクリエイターやソングライターの顔を持ち、Hero Fallsの市長も務めている。2014年、Ubisoftのサンフランシスコ チームに加わった。

*『The Charlie Daniels Band』(著作者:Carl Lender)はCC BY 2.0ライセンスのもと使用を許可されています。ライセンスのもと使用を許可されています。

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