19.January.2022

ギターの親戚、パート2:シターンとシトル

現代のギターは1950年代に生まれたと信じ込まされている人もいるかもしれないが、それは真実ではない。数百年にわたって進化し続けてきた音楽の歴史の中では、多種多様な楽器が生まれた。フレットを備えた弦楽器への進化も偶然ではない。シターンとシトルは現代のギターとの間に類似点があるだけでなく、お互いによく似ている。これらは、ガット弦のアコースティック楽器から現代の電子楽器への進化の途上にある歴史的に重要な画期的楽器だ。

[UN] Cousins of the Guitar, Part 2: Cittern & Citole - citole 960
50年代のLes Paulsは貴重品だが、大英博物館に収められているシトルはこれ1つしかない。

シトル

中世のシトルは小型で、胴体はギターのような形をしていることもあった。ひとかたまりの木材から切り出して上部に共鳴板を貼り付けて作られるシトルは、安定性のためにネックの形状が独特なものとなっている。演奏の際にピックが使われるという点は同じだが、持ち方は違う。下を向くように持ち、ストローク側の手は胴体の下から入れるのだ。やがてネックがさらに長くなり、より現代的なシターンに近付いていったが、この中世の楽器は現代の楽器と同じような社会的役割を果たしていたようだ。

大英博物館に収められている現存唯一の中世のシトル(正式名称は「ウォリック城のギターン」)は、現代化されてバイオリンのような見た目をしているという点で、ミスリーディングな代物である。本来であればフレットが結び付けられていたはずだし、バイオリンのようなf字孔はなかったはずだ。

この『Cantigas de Santa Maria』は、ヨーロッパの初期の独奏曲をまとめた最大の集成だ。この曲がどのような音であったかは完全には解明されていないものの、研究は続いている!

[UN] Cousins of the Guitar, Part 2: Cittern & Citole - cittern 960
スマホが登場するよりも前、散髪屋で自分の順番を待つ客は何をしていたか?この画像のようなシターンを演奏して時間をつぶしていたのだ!

シターン

15世紀から16世紀にかけて人気を博したシターンという楽器は、シトルの進化形であり、当時としては珍しくガット弦ではなく金属弦が取り付けられていた。現代のアコースティック ギターと同じように、シターンは手頃な価格だったため、様々な階層の人々が楽しめる手に取りやすい楽器だった。共同体において人気の集会場所だった散髪屋の待合室にもよく置かれていて、散髪屋の客は自分の順番を待ちながら歌ったり、楽器を奏でたりしていた。

シターンは金属弦のおかげで音が大きめだったので協奏曲で好んで使用されたが、独奏曲も多数残っている。

*指板のどこに指を置けばいいかを理解すれば、指板のレイアウトを見ることで数多くの楽器を奏でられるようになるのがフレット楽器の長所だ。経験と自信を培ったギタリストが別のフレット楽器に惹きつけられることがあるのは偶然ではない。だが、これらの楽器の共通点を見出すこと以上に面白いのが、相違点を見つけることだ。異なるチューニングとアプローチは、まったく新しい音楽の世界への道標になってくれる。これらの楽器を持っていなくても大事な教訓は得られる。すなわち、自分の楽器には歴史がないなどとは思い込まずに、その楽器が実際には何であるのかを見つけ出そう、ということだ。そうすれば、自分自身の演奏の役に立つ何かが学べるかもしれない。

Margaret Jonesは、カリフォルニア州オークランドに住むマルチプレイヤー、ソングライター、音楽教師。自身の作詞作曲プロジェクトM Jones and the Meleeなど、複数のローカル バンドでギターを演奏している。また、カリフォルニア大学バークレー校で音楽史の博士号を取得しており、サンフランシスコ音楽院で教鞭を取っている。

「Cittern」(黒色の背景)と「Cittern」(灰色の背景)(著作者:Metropolitan Museum of Art)はCC0 1.0ライセンスのもと使用を許可されています。

「Citole in the British Museum, ca. 1300」(著作者:Romainbehar)はCC0 1.0ライセンスのもと使用を許可されています。

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