22.December.2021

ツアー物語:フライトに向けてギターの準備をする

「申し訳ありませんが、そのギター ケースは大きすぎて機内にお持ち込みいただけません。お預けいただく必要があります」

全国を巡るフライトや国際フライトで飛行機に乗り込もうとしているツアー ミュージシャンが、航空会社のスタッフに言われたくない言葉の第一位はこれだ。それでもたいていはこう言われる。なぜならば、天井部の荷物入れは縮小化の一途をたどっているし、フライトは定員以上の予約を取り続けているからだ。自分自身が飛行機に乗れるだけでも運がいいのに、楽器と一緒に乗れるなんて運がよすぎるというものだろう。

[RS+] Tales from the Tour: Getting Guitars Ready for Flight - gibsonsg walnut 960
《木材は温度や湿度の急激な変化によって損なわれることがある。そして、預け入れ荷物は飛行機のそういう場所に保管される》

私はHammers of Misfortuneでショー----満員御礼のロードバーン フェスティバルにも出演----をするためにヨーロッパへ行って帰ってくる道のりを、Gibson SGと一緒にどうにかこうにか乗り切った。カリフォルニア州へ帰る前に家族と会おうとニュージャージー州に立ち寄って、別の飛行機に乗り換えたときのことだった。スタッフが私をゲートで立ち止まらせて、大切なギターを飛行機の底のどこか奥深くへと持って行ってしまったのだ。到着して手荷物受取所でケースを手にしたとき、ギターは氷のように冷たかった。秋の終わりが近づいていた頃である。つまり、SGは冷凍庫の中で6時間過ごしたようなものだった。奇跡的にも、ギターは歪みもせずに耐え抜いてくれた!温度や湿度が極端に変化する状況に木材をさらすと、ギターネックの形状が変わってしまい、チューニングを保てなくなる。だからこそ、可能な限り楽器は機内持ち込みしたい。

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《ギターやベースを持って長旅をする前に、ネックの張りをゆるめておくといい》

私は飛行機に乗る前にギターの弦を必ずゆるめていた。あなたにもそうすることをおすすめしたい。フライト中の温度と気圧の変化により、弦の張りが強くなってギターのネックが損なわれることもあるからだ。ギター ケースの留め金にガムテープを貼り付けておけば、受け取り所のベルト コンベヤに投げ込まれたときにケースが開いてしまう心配を抑えられる。

普段使う物を荷物に入れておくのを忘れたこともない。予備の弦、ワイヤー カッター、それに爪切り。押弦音を奏でるときに爪が伸びていたら大変だ。機器(ギター ペダル、ノートパソコン、スマホ)を220ボルトで使えるようにするためのヨーロッパ用のプラグ アダプターも持って行ったが、アメリカ標準の110ボルトでしか使えないストレート アイロンを持って行ったのは間違いだった!

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《様々なプラグで切り替え可能なアダプターを買うだけでは十分ではない!機器の電源が旅先の国の電圧で使用できることも確認しておこう。さもないと、煙に驚かされることになる》

さらに後になってのことだが、Hammers of Misfortuneの仲間たちと共にフォール イントゥ ダークネス フェスティバルで演奏するための国内便の飛行機に乗ってからギターをチェックしたときは、それほど幸運に恵まれなかった。第6弦のスロット付近のナットが少し割れていて、1~3フレットの弦がブンブン言っていた。これでは演奏できない。弦高を上げたくはなかった。私はシングル ノートのリードを演奏することが多かったし、練習なしでそれをするのがいかに難しいか知っていたからだ。幸運にもバンド仲間のうち2人は技術的なことに詳しく、ナットの簡易修理を手伝ってくれた。壊れたナットスロットと第6弦の間にブックマッチの小さな紙を挿し込めばよかったのだ。これで弦が持ち上がって雑音がなくなり、万全な状態でショーに出演できた。

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《壊れたナットを交換できるギター屋が道端で見つかったらラッキーだが、ブックマッチのようなちょっとしたコツがピンチから救ってくれることもある》

ギターは飛行機に持ち込むのが常に最も安全だが、それが無理ならギターのネックを守ってくれる頑丈なロード ケースにお金を使おう(ヘッドストックの周りに小さなタオルを巻きつけるのもいい)。楽器を荷物として預けるのはリスクを伴う行為だが、ショーは止められない!

Leila Abdul-Rauf、カリフォルニア州オークランドを拠点とするマルチプレイヤー、作曲家。メタルバンドのVastumHammers of Misfortune、エセリアル ポストパンク バンドTerebellumでギタリスト兼ボーカリストを務めている。また、自身の名義と、エレクトロニック トリオIonophore、シンセフォーク デュオFyrhtuで環境音楽の作曲・制作も行っている。各国でツアーも実施しており、余暇にはギターとボーカルの個人インストラクターをしている。

「Guitar Case」(著作者:juliakaufmann)はPixabayにより使用を許可されています。

「Gibson SG Standard Walnut」(著作者:Freebird)はCC BY-SA 2.0ライセンスのもと使用を許可されています。

「SG loosening string」(著作者:Leila Abdul-Rauf)。許諾を得て使用しています。

「Travel adapter plug」(著作者:aixklusiv)はPixabayにより使用を許可されています。

「Electric Guitar Strings Musical」(著作者:StockSnap)はPixabayにより使用を許可されています。

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