22.July.2021

Bachsmithの『歓喜の歌』 - メイキングとリメイキング

楽曲が作曲者の魂を直接かたどって生まれてくるのは夢の世界の話だろう。現実には、インスピレーションから最終レコーディングに至るまでには多くの紆余曲折がある。先の見えない裏通りに迷い込み。行きつ戻りつし、ようやく目的の場所にたどり着くのだ。

Rocksmithチームもこれを体験した。Bachsmithパック第二弾 のためにベートーヴェンの『歓喜の歌』の新しいアレンジに着手したときのことだ。素晴らしい素材があるにもかかわらず、あるいはそれが理由で、私たちは自分たちが元の傑作の魂を完全に伝えられていないことに気付いたのだ。

ベートーヴェンの交響曲第9番『歓喜の歌』のアレンジは、ベテラン作曲者でありギタリストのAnthony Martinezの手にゆだねられた。Anthonyが最初に考えていたのは、とっつきやすく、かつ教育的なものだった。中級者、あるいは野心的な初心者が、ただ覚えるだけでなく十分に弾きこなせるレベルのものだ。彼の最初のアレンジがどんなものだったか紹介しよう。

このアレンジでAnthonyは、基本的なメロディーにシンプルなリズムをつけている。バリエーションはあるが、かなり抑制されたものだ。オルタネイトのメロディーはなく、ソロもない。だが、それでもまったく問題はない。このデモは、Bachsmithのアレンジとして求められる基本を完璧に備えている。だが、チームで議論した結果、私たちはもっといいものを目指すことに決めた。

Bachsmithのゴールは常に、指と耳が満足するものを作ることだ。ただのエクササイズでなく、正しく完成した音楽的な体験でなくてはならない。『歓喜の歌』を使ってやれることはまだまだたくさんあった。ベートーヴェンのオリジナルの中には他にも使えるテーマがあり、引き延ばしてハーモニーやアレンジを変えられそうなセクションも多かった。もっとAnthony独自の音楽性を演奏に組み込む余地があり、端的に言えば、もっと楽しいものにできそうだった。
プロジェクトコーディネーターのBrian McCuneから助言を受けるなど、チームで議論を尽くした後、Anthonyがいちから作り直したものがこれだ。

対比的なセクションやソロが追加され、全体的な勢いが増している。何より、弾いているうちに笑顔になれそうなアレンジだ。方向性について賛同が得られた後は、さらにアレンジを洗練させる実際的な作業が始まった。

このバージョンにはそれだけの価値があった。プレイヤーが実際にプレイしてどんな感想を持つか、とても楽しみだ。Bachsmithはスタジオにいる私たちにとって非常に特別なものだ。これを手伝ってくれたすべてのミュージシャン、エンジニア、サポートスタッフに心から感謝する。なにより、このRocksmithとしての新しい挑戦をサポートしてくれたRocksmithコミュニティのみんなに、この場を借りて感謝を伝えたい。

下の動画は、Bachsmith II のローンチ ウィーク中、Twitchストリーミングで最終版を演奏するAnthonyとBrianの様子だ。(※各リンクから外部の英語ウェブサイトに移動します。)

Jarred McAdamsは、2011年にRocksmithチームに加わった。オベリン音楽院で作曲を学び、ミルズ大学で作曲の修士号を取得。様々なアートプロジェクトや商業プロジェクトに作曲家、演奏家、ライター、ビデオ プロデューサーとして関わり、2008年以降、多くの音楽ゲーム シリーズに携わっている。

Anthony Martinezの写真:Katrin Auch Photography。許諾を得て使用しています。

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